Landwasserviadukt, Flickr

イタリア スイス 世界遺産100選 重要遺産

アルブラとベルニナの景観とレーティッシュ鉄道

2021年11月14日

文化遺産
遺産名:
アルブラとベルニナの景観とレーティッシュ鉄道
Rhaetian Railway in the Albula / Bernina Landscapes
国名:イタリア、スイス
登録年:2008年
登録基準:(ii)(iv)
概要:
レーティッシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観は、スイスとイタリアが共有する「国境を越える世界遺産」のひとつである。スイスのグラウビュンデン州からイタリアのロンバルディア州ソンドリオ県にかけてを走るレーティッシュ鉄道のアルブラ線とベルニナ線は、登山鉄道で広く見られるラック式を採用していない粘着式鉄道としてはヨーロッパ最高地点を通る鉄道であり、20世紀初頭における技術的到達の優れた例証などとして、2008年にUNESCOの世界遺産リストに加えられた。登録面積約152 haのうち、イタリア領内は3 haである。

レーティッシュ鉄道路線図 (Wikipediaより)

(Wikipediaより)

アルブラ線 Albulalinie

アルブラ線は、スイス、グラウビュンデン州を中心に384kmの路線を保有するレーティッシュ鉄道の区間の一部。ヒンターライン地方のトゥージスと、エンガディン地方のサンモリッツを結ぶ区間を指す。レーティッシュ鉄道はスイスのグラウビュンデン州を中心に様々な路線を抱えている同国最大級の私鉄である。そのうちのアルブラ線はクールとサンモリッツを結ぶ路線で、開通は1904年のことである。アルブラ線は89kmの路線だが、世界遺産に登録されているのはトゥジスからサンモリッツまでの67km(支線含む)で、687m(トゥジス)から1,819m(アルブラ峠)までの高低差を最急勾配35‰で走行する。開通時に狭軌世界最長だったアルブラ・トンネル(全長5,866m)、アルブラ線内で「最も有名な景観群のひとつ」といわれるラントヴァッサー橋(高さ65m)、それよりも高いソリス橋(高さ87m)などの特徴的な構造物を含み、アルブラ渓谷の自然景観とともに路線の見所を形成している。変容の度合いが大きいと判断されたトゥジス駅舎は登録対象から除外されている

スイスを代表する人気の絶景列車、グレッシャー・エクスプレス(氷河特急)ベルニナ・エクスプレスもこの路線を走る。

アルブラ線の路線図(レーティッシュ鉄道)

[pdf-embedder url="http://worldheritage.online/wp-content/uploads/2021/11/Kartenausschnitt_Albulastrecke_en.pdf"]

ラントヴァッサー橋

シュミッテンの南にあるラントヴァッサー峡谷にかかっており、長さは136メートル、高さは65メートルである。1901年から1903年にかけて建設された。レーティッシュ鉄道が利用しており、氷河急行もこの橋を通過する。

Landwasser Viadukt, Flickr

ラントヴァッサー橋 Flickr

ソリス橋 Solis Viaduct

スイスのグラウビュンデン峡谷 ( the canton of Graubünden)にかかっており、長さ164m、高さ89mである。1902年に完成した。

ソリス橋, Flickr

ベルニナ線 Berninalinie

ベルニナ線はスイス・エンガディン地方のサンモリッツからイタリアのティラーノまでの61kmの路線で、開通は1910年のことであった。高低差1824mを約2時間で結ぶ。当初はレーティッシュ鉄道とは別個の鉄道だったが、第二次世界大戦の影響をうけて経済的に厳しい状態になったことから、1944年にレーティッシュ鉄道の一部となった。429m(アッダ)から2,253m(ベルニナ峠)までの高低差を最急勾配70‰で走行する。最高地点はオスピオチ・ベルニナ駅の2,253m。ラック式を使わない代わりに、オープンループやヘアピンカーブを多用しており、途中のオスピツィオ・ベルニナ駅は、粘着式鉄道のヨーロッパの駅としては最高地点である。オスピツィオ・ベルニナ駅は氷河湖ラーゴ・ビアンコの湖畔にあり、森林限界を越えた周辺ではモルテラッチュ氷河やカンブレナ氷河などを見ることができる。

美しいカラマツの森や滝、4000m級のベルニナ山群の名峰、雄大な氷河、山上湖など、アルプスの景観が車窓から広がる。ドナウ川とポー川の分水嶺となっている山上湖ラーゴ・ビアンコや、ブルージオ付近にある360度のループ橋、ポスキアーヴォ谷の中心地、ポスキアーヴォなど、沿線には数多くの見どころが凝縮されている。 通常の列車に加え、スイスを代表する人気の絶景列車、ベルニナ・エクスプレスもこの区間を走る。サン・モリッツ=ティラーノ間に加え、クール=ティラーノ間、ダヴォス=ティラーノ間を結ぶベルニナ・エクスプレスも運行している。ベルニナ線の車窓から見られる景観は「欧州車窓展望ベスト10」(トーマス・クック・グループ)にも選出されている。

ベルニナ線の路線図(レーティッシュ鉄道)

[pdf-embedder url="http://worldheritage.online/wp-content/uploads/2021/11/Kartenausschnitt_Berninastrecke_en.pdf"]

サンモリッツ St. Moritz

サンモリッツはイン川沿い、サンモリッツ湖の湖畔に位置する。夏にはハイキング、冬にはウィンタースポーツが盛んで、近くに鉱泉も噴出しているため、年間を通じて多くのレジャー客、保養客を集める。スキーをはじめとするウィンタースポーツのメッカだが、夏の観光シーズンもハイキングやサイクリング、乗馬などを楽しむことができる。グレッシャー・エクスプレス(氷河特急)やベルニナ・エクスプレスなど人気の絶景ルートの発着点にもなっている。

サンモリッツ , Flickr

オスピチオ・ベルニナ駅 Ospizio Bernina railway station

ベルニナ峠に近いビアンコ湖に面した駅である。オスピチオ・ベルニナ駅は、粘着式鉄道のヨーロッパの駅としては最高地点にある。標高2,253mである。

Ospizio Bernina, Flickr

ブルージオ橋 Kreisviadukts von Brusio

ブルージオ橋は、急斜面を解決する方法の1つであるループ線を、トンネルを掘削せずに実現した、鉄道としては非常に珍しい構造物である。 ユネスコが登録する文化遺産「レーティッシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観」 の建築群に含まれ、その特徴的な外観によってベルニナ線を代表する景観の1つとして知られる。事実、レーティッシュ鉄道の公式ホームページやパンフレット類では、ベルニナ線およびベルニナ急行を示すアイコンとして当橋を意匠化したループマークが採用されており、同鉄道アルブラ線におけるラントヴァッサー橋・ソリス橋と同様の存在といえる。

ブルジオ橋, Flickr

Kreisviadukt von Brusio , Flickr

Brusio circular viaduct, Flickr

世界遺産クイズ

アルブラとベルニナの景観とレーティッシュ鉄道について、正しいものはどれか

関連動画へのリンク

世界で最も美しい鉄道-ベルニナ急行

Rhaetian Railway in the Albula / Bernina Landscapes (UNESCO/NHK)

(Wikipediaより)

UNESCO公式HP(英語版)へのリンク

https://whc.unesco.org/en/list/1276

-イタリア, スイス, 世界遺産100選, 重要遺産
-,