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知床

2021年3月18日

概要

自然遺産
資産名:
知床
Shiretoko
国名:日本
登録年:2005年
登録基準:(ix) (x)
概要:
北海道北東端に位置する知床は、長さ70kmの細長い半島である。北半球でもっとも低緯度まで流氷が流れ着く「季節海氷域」である。海流や流氷、手つかずの原生林のおかげで、豊かな海と陸の生態系が生み出されている。陸上ではヒグマエゾシカキタキツネシマフクロウなどの貴重な野生動物が生息し、海では多くの海鳥やトド、クジラなどが生息している。知床では、環境保護と観光を両立させるために「知床エコツーリズム推進協議会」を設置し、エコツーリズムに力をいれている。豊富な栄養塩を含む知床の海氷は、春になると融解し、大量の植物プランクトンを供給する。それに伴い、植物プランクトンを餌とする動物プランクトンさらに小魚、甲殻類や貝類が繁殖するといった、一連の食物連鎖が生まれる。海から始まるこの食物連鎖が、海生哺乳類はもちろん、陸生哺乳類を含んだ、陸と海が連続する特異な生態系を育んでいる。ヒグマの生息密度は世界で最も高い。

地図

スライドショー

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Shiretoko,National,Park,Located,On,The,Shiretoko,Peninsula,In,Eastern
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世界遺産の登録基準

ユネスコの自然遺産の登録順は、次の4つである。

(vii)「自然景観」
ひときわすぐれた自然美をもった自然現象や景観を有する地域
(viii)「地形・地質」
過去の生命の歴史や地球の歴史の証拠となるような、重要な地形・地質等がよくあらわれている地域
(ix)「生態系」
現在も進行中の生物の進化や生物群集の見本となるような、極めて特徴のある生態系を有する地域
(x)「生物多様性」
絶滅危惧種の生息地や、生物多様性の保全上最も重要な生物が生息・生育する地域

このうち、「知床」の自然は、(ix)と(x)の基準が該当すると評価された。

基準9(ⅸ)「生態系」

知床は北半球で最も低緯度に位置する季節海氷域であり、季節海氷の形成による影響を大きく受け、特異な生態系の生産性が見られるとともに、海洋生態系と陸上生態系の相互関係の顕著な見本である。知床半島沿岸では、海氷の変化とダイナミックな食物連鎖によって、他の地域にはない海から陸へと連なる生態系がみられる。

基準10(ⅹ)「生物多様性」

・知床は多くの海洋性及び陸上性の種にとって特に重要であり、これらの中にはシマフクロウ、シレトコスミレなど多くの希少種が含まれている。
・知床は多くのサケ科魚類、トドや鯨類などの海棲哺乳類にとって世界的に重要である。
・知床は世界的に希少な海鳥類の生息地として重要であるとともに、渡り鳥類にとって世界的に重要な地域である。
なお、日本から提案していた「自然景観」(vii)は登録基準に合致しないとされた。

登録の背景

明治時代、北海道各地で開拓が進んだが、知床半島はその厳しい自然環境のため、その影響をほとんど受けう、手つかずの自然が守られた。1964年、「自然公園法」に基づき、国立公園に指定された。1977年には自治体によって開拓跡地を森林に復元することを目的とする「しれとこ100平方メートル」運動がスタート。日本における最初の「ナショナル・トラスト運動」として発展した。

遺産の概要

オホーツク海の知床沿岸域は、海氷ができる海洋の中では世界で最も低緯度に位置している。海氷ができると表層の海水が冷却されて海水の上下の循環が促進され、海の下層に蓄積されていた栄養塩類が表層まで浮上する。そして春になると、表層は、光合成に十分な太陽光に恵まれるため、下層からあがってきた栄養塩類を利用して植物プランクトンが爆発的に増殖する。こうして海氷によってもたらされた大量のプランクトンは、海- 川- 森とつながる知床の豊かな生態系を支える食物連鎖の出発点となる。

知床の豊かな海は、プランクトンをはじめに、魚類や海鳥類、鯨類などの海洋生物を育んでいる。シロザケ、カラフトマスなどのサケ科魚類は海から川を遡り、ヒグマや猛禽類の重要な食物資源となる。食べ残された魚もキツネなどの糧となり、最後は土に還り森の栄養分となる。このように知床では海- 川- 陸にわたるダイナミックな食物網が形成されている。また、動植物ともに北方系と南方系の種が混在しており、これらの生物が密接に影響し合って豊かな生態系を形づくっている。この豊かな生態系は国際的な希少種のシマフクロウ、オオワシ、オジロワシなどの種の存続に不可欠な場所でもある。

生息するシロザケ(サケ)、カラフトマス、サクラマス、オショロコマが、海と川を行き来し、これらを重要な餌資源とするヒグマシマフクロウオオワシオジロワシといった大型の哺乳類や絶滅のおそれのある猛禽類をはじめ海棲哺乳類(海獣)、海鳥など様々な生きものが生息し、北方系と南方系の野生生物が混生するなど、海域と陸域の自然環境が密接に影響し合い、多様な生物相と生物間相互作用に支えられた豊かな生態系を形成している。また、火山活動により形成された急峻な知床連山、山麓を覆う原生的な森林、切り立つ海岸断崖、多様な湿原・湖沼など様々な景観が凝縮され、優れた自然美を有している。

また、遺産地域は環境省及び林野庁により各種の保護地域(遠音別岳原生自然環境保全地域、知床国立公園、知床森林生態系保護地域、国指定知床鳥獣保護区)に指定されており、自然環境の保全が担保され、原生的な自然環境が人為により破壊されることなく残されている。さらに、遺産地域内において過去に農業開拓が行なわれた岩尾別地区については、斜里町による「しれとこ100平方メートル運動」(現在の「100平方メートル運動の森・トラスト」)によって民有地を公有地化して保全し、かつての自然を復元する取組が行なわれている。これは、日本における最初の「ナショナル・トラスト運動」であった。

(Wikipedia、環境省「日本の世界自然遺産」より)

主な構成資産

知床五湖

知床五湖は、北海道斜里町にある湖(秘湖、沼)である。五湖とあり、一湖から五湖までの名前がついている。ただし、湿地帯にあるため融雪期には数が増える。知床八景の一つに数えられる観光地として、一湖を見下ろす展望台や湖を巡る遊歩道が整備されている。知床連山や原生林を水面に映す素晴らしい風景は、訪れる観光客の心をとらえて放さない。遊歩道では、エゾリスエゾシカなどが観察される一方、ヒグマが目撃されることもある。

岩尾別川

北海道北東部の知床半島中央に位置する羅臼岳の西側斜面に源を発し西へ流れ、オホーツク海に注ぐ。源流の一つは羅臼岳登山道沿いにある名水「弥三吉水」である(標高900m付近)。流域の全域が知床国立公園に指定され、川周辺ではエゾシカヒグマなどの大型哺乳類、エゾシマフクロウなどの猛禽類が棲息するなど、豊かな自然環境が形成されている。

カムイワッカ湯の滝

標高は400メートル、落差20メートルの渓流瀑である。知床半島のほぼ中央にある活火山の硫黄山を源流とするカムイワッカ川に掛かる。川には温泉が流入し、連続する滝のそれぞれの滝壺が野趣溢れる天然の露天風呂となっており、野湯とも表現される。カムイワッカはアイヌ語のkamuy(神、または神のような崇高な存在の意)、wakka(水の意)であり、この川の温泉成分が強い硫黄成分を含むため有毒であり、生物が生息できない「魔の水」の意味と解釈されている。知床八景のひとつとして以前から知られていたが、世界遺産に登録され、訪れる観光客が急増した。

知床岬

地名はアイヌ語の「シリエトク」(地の果て)からきたとされる。岬上は標高30~40mの台地で、周囲は断崖である。ウミウオジロワシオオワシなど天然記念物の野鳥のほか、アザラシトドヒグマも棲息する。1964年、知床半島の中部以北が知床国立公園に指定された。知床岬の付近は国立公園内の特別保護地区として厳重な管理下におかれており、道路や大型船の接岸できる港湾施設の建設が規制されている。このため、一般の観光客は事実上立入りできない

(Wikipediaより)

知床旅情 加藤登紀子

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UNESCO公式HP(英語版)へのリンク

https://whc.unesco.org/en/list/1193

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