文化遺産
遺産名:
アルジェの旧市街カスバ
Kasbah of Algiers
国名:アルジェリア
登録年:1992年
登録基準:(ii)(v)
概要:
「アルジェのカスバ」はアルジェリアの首都アルジェの旧市街を構成する一画の呼称。ユネスコの世界遺産にも登録されている。なお、アルジェリアにはカスバと呼ばれる市街は他にもあるが、単に「カスバ」といった場合には一般にこのアルジェのカスバを指す。カスバはアラビア語で「城塞」という意味がある。
本来の意味でのカスバとは、オスマン帝国領下の16世紀において、アルジェの丘に建てられたオスマン帝国の太守の城塞のことである。
1529年にスペイン軍を駆逐してアルジェを征服した海賊ハイレッディンは、オスマン帝国によって地方長官に任命され、海を見下ろす丘の上に城塞やモスクを建造した。
この城塞と海岸線と起伏のある地形に囲まれた一帯で人口が増加し、アルジェの旧市街が形成された。そして時代が下ると、この旧市街自体のことも「カスバ」と呼ばれるようになったのである。カスバには宮殿やモスクは残っているが、植民地時代の残滓は大部分が姿を消している。
カスバの魅力は、高低差118mにも及ぶ起伏に富んだ地形そのものと、そこを縫うようにして伸びる、在りし日の謎と神秘に満ちたアルジェへいざなう曲がりくねった細い路地、そしてそこに建てられた家の外観や内部の特色などによって構成されている。アルジェの家は家々に囲まれた泉のある四角い中庭に通じているのが特徴的である。
カスバの高いところは急勾配になっているので、路地のほとんどが階段状になっている。専門家たちは、何世紀にも渡って互に支えあうように、そしてもつれ合うようにして建っている家々が織りなす建築上の奇観が、この急勾配の土地の上に作り上げられてきたことに驚嘆の色を隠さない。
本来の中心部は美しいもので、かつてはムーア人都市アル=ジャザイル(アルジェのアラビア語名称)に、「アルジェ=ラ=ブランシュ」(白き都アルジェ)の名称をもたらした。しかし、現在のカスバは老朽化によって崩壊の危機に直面している。海から、あるいはテラスからカスバを眺めれば、まだ十分に美しいものである。しかし、実際に路地を歩いてみれば、その悲痛なさまが明らかである。構造上、ある家が崩れると、それと折り重なっている家々もドミノ倒しのように倒壊の危機にさらされるのである。
(Wikipediaより)