文化遺産
遺産名：
ヴォルビリスの考古遺跡
Archaeological Site of Volubilis
国名：モロッコ
登録年：1997年
登録基準：(ii)(iii)(iv)(vi)
概要：
ヴォルビリスは、モロッコにある古代遺跡。フェズとラバトの間で、メクネスに比較的近く、最も近い町としてはMoulay Idrissがある。ヴォルビリスは、北アフリカにおける古代ローマ都市の、最良の保存状態を誇る遺跡のひとつとして、ユネスコの世界遺産に登録されている。42ヘクタールの面積を持つこの遺跡は、ローマ帝国の辺境における都市開発とローマ化を示す重要な遺跡であり、ローマと先住民の文化との接点を示す図像でもある。
その孤立性と1000年近く人が住んでいなかったという事実のため、重要なレベルの信憑性を提示している。北アフリカのこの時代の遺跡としては、遺跡だけでなく、碑文の証拠も非常に豊富である。
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古代には、ヴォルビリスはローマ帝国の勢力範囲の西限に位置する重要な都市であった。都市が建造されたのは、マウレタニアの王プトレマイオスがカリグラ帝に暗殺された後の西暦40年頃のことであるが、この町は紀元前3世紀来のカルタゴの施設群の上に築かれたと推測されている。「ヴォルビリス」の名は、ベルベル語のAlili（キョウチクトウ）に因む。この花は、一帯ではありふれたものだった。
ヴォルビリスはマウレタニア・ティンギタナと呼ばれていたアフリカのローマ属州の中心都市でもあった。この地は肥沃で、小麦やオリーブオイルなどを多く産出した。それはローマへと出荷され、この町に富と繁栄をもたらした。217年にはアントニヌス勅令を発してくれたカラカラ帝への感謝を捧げた「カラカラ帝の凱旋門」が建造された。
凱旋門, Flickrこ
この遺跡の考古学的な痕跡は、いくつかの文明の証人となっている。先史時代からイスラム時代まで、10世紀にわたる占領のすべての段階が表現されている。モザイク、大理石やブロンズの彫像、何百もの碑文など、かなりの量の芸術的資料がこの遺跡から生み出されている。これらの資料と発見されたままの資料は、長い間そこに住んでいた人間の創造的な精神を象徴している。この遺跡の限界は、紀元168年から169年にかけて建設されたローマ時代の城壁によって表現されている。遺跡の特徴として、北東部の比較的平坦な丘陵地帯、遺跡の区画、凱旋門の区画の一部には、ローマ人が都市型ハイポダミアン方式を採用し、南部と西部には、段々畑方式を採用した荒れた丘陵地帯が広がっていることが挙げられる。この遺跡は、独立王国の一部であったモーリタニア時代から、ローマ帝国のモーリタニア・ティンギタナ州の大都市であったローマ時代、「暗黒時代」と呼ばれ、末期にはキリスト教の時代、そしてイドリシッド王朝の創設を特徴とするイスラム時代と、様々な時代を証言している。
都市の遺跡群は1755年のリスボン大地震の際に被害を受け、さらに前後する時期には、メクネスでの建築資材として大理石が一部持ち去られた。1915年に、フランス人の調査団によって発掘が開始され、広範囲にわたるローマ都市遺跡群が出土した。
登録基準(ii): ヴォルビリスの考古学的遺跡は、古代よりイスラム時代までの影響力の交流の証となる町の顕著な例である。これらの交流は、遺跡の境界線に相当する町の環境と、ゼルホーンからのプレリフの尾根とガルブ平野の間に広がる農村地帯で行われた。これらの影響は、地中海、リビア、ムーア、プニック、ローマ、アラブ・イスラーム文化、そしてアフリカやキリスト教の文化を物語っている。それらは、町の都市的発展、建築様式、建築装飾、景観の創造に明らかである。
登録基準(iii): この遺跡は、多くの文化（リビコ・ベルベル、モーリタニア、ローマ、キリスト、アラブ・イスラム）の証となる考古学的、建築的複合体と文化的景観の顕著な例であり、そのうちいくつかは消滅してしまったものである。
登録基準(iv): ヴォルビリスの考古学的遺跡は、古代よりイスラム時代まで、様々な種類の移民、文化的伝統、失われた文化（リビコ・ベルベル、モーリタニア、ローマ、キリスト、アラブ・イスラム）の中心地としての優れた事例である。
登録基準(vi): ヴォルビリスの考古学的遺跡は、歴史、出来事、思想、信仰、芸術作品に富み、特に短期間ながらイスラム王朝イドリシッド家の首都となった場所として、世界的に重要である。遺跡に隣接するムーレイ・イドリス・ゼルフーンの町には、この建国者の墓があり、毎年巡礼の対象となっている。
（Wikipedia、世界遺産センターHPより）
