基本情報
文化遺産
資産名:モイダム:アホム王朝の墳丘墓・埋葬システム
正式名:Moidams – the Mound-Burial System of the Ahom Dynasty
国名:インド
登録年:2024年
登録基準:(iii)(iv)
概要
モイダムは、インド北東部アッサム州に位置するアホム王朝(13世紀~19世紀)の墳丘墓である。タイ・アホム族が築いたこの埋葬システムは、王族や貴族の埋葬地として機能し、彼らの宇宙観と信仰を反映している。チャラデオはアホム王朝の最初の首都であり、神聖な地として600年にわたりモイダムが築かれた。この地には90基以上のモイダムが確認されており、それぞれが丘陵や水域といった自然環境と調和して設計されている。
モイダムは、土で覆われた中空の地下室(タク)を基礎とし、その上には八角形の壁(ガル)に囲まれた神殿(チョウチャリ)が設置されている。神殿は「天と地をつなぐ黄金の梯子」を象徴し、埋葬された王族や貴族は神格化されると信じられていた。内部には遺骨や副葬品として食物、馬、象などが納められ、一部では王妃や使用人も共に埋葬された。
モイダムは文化的価値が高く、基準(iii)ではタイ・アホム族の600年に及ぶ葬儀文化を証明するものと評価され、基準(iv)ではその独自性と卓越した葬儀建築の例として認められている。また、自然環境を活かした設計はタイ・アホム族の宇宙観を具現化したものであり、祖先崇拝や儀式が現在も続けられている点も注目される。
この遺産は国および州の法律で保護されており、保存状態も良好である。しかし、大雨による土壌浸食や植生の成長が課題となっている。管理はアッサム州考古学局(DOA)とインド考古学調査局(ASI)が共同で行い、地域住民も保護活動に積極的に関与している。さらに持続可能な観光戦略や研究計画の強化が求められている。
モイダムは2024年に世界遺産に登録され、その歴史的・文化的重要性が国際的に認識された。この遺産はタイ・アホム族の豊かな文化遺産を後世へ伝える重要な役割を果たしている。