2024年新規登録遺産

メルカ・クントゥレとバルチット:エチオピア高原地域の考古学的・古生物学的遺跡群

基本情報

文化遺産
資産名:メルカ・クントゥレとバルチット:エチオピア高原地域の考古学的・古生物学的遺跡群
正式名:Melka Kunture and Balchit: Archaeological and Palaeontological Sites in the Highland Area of Ethiopia
国名:エチオピア連邦民主共和国
登録年:2024年
登録基準:(iii)(iv)(v)

概要

メルカ・クントゥレとバルチットは、エチオピア高地のアワッシュ川上流域に位置する考古学的および古生物学的遺跡群である。この地域は標高2,000~2,200メートルに位置し、洪積層や火山堆積物に覆われた地層が連続的に保存されている。これにより、約200万年前から続く旧石器時代(オルドワン文化・アシュール文化)、中石器時代、後期旧石器時代の技術的発展を示す文化的遺物が確認されている。これらの遺跡は、人類の進化や高地環境への適応を理解する上で重要な証拠を提供している。

この地域では、ホモ・エレクトス、ホモ・ハイデルベルゲンシス、初期ホモ・サピエンスといった人類化石が出土しており、それらは石器や火山堆積物と共に発見されている。特に黒曜石を用いた道具製作の痕跡は、オルドワン文化から始まり、その後も継続的に利用されてきたことを示している。この黒曜石の利用は、人類史上最も早い例であり、高度な計画性や技術革新を反映している。

また、この地域には更新世の化石化した景観が埋もれており、高地特有の生態系や気候条件を復元する手がかりとなる。これらの証拠は、人類が乾燥した低地から高地へと適応する過程を示し、高山環境への移行が人類史上重要な段階であったことを物語っている。

メルカ・クントゥレとバルチットは、登録基準(iii)、(iv)、(v)を満たし、2024年に世界遺産として登録された。これらの基準は、それぞれ文化的伝統、人類進化の重要な段階、そして黒曜石利用の継続性を評価したものである。遺跡群は良好に保存されており、一部は公開展示されているが、洪水や砂採取による影響が課題となっている。

保護管理体制として、エチオピア政府が所有し、地域住民との協力のもと管理が行われている。法的枠組みや管理計画(2022–2027年)に基づき、遺跡保護や研究が進められており、持続可能な保全と観光開発が目指されている。

世界遺産クイズ

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