基本情報
文化遺産
資産名:ゲディの旧市街と考古遺跡
正式名:The Historic Town and Archaeological Site of Gedi
国名:ケニア
登録年:2024年
登録基準:(ii)(iii)(iv)
概要
ゲディの歴史都市と考古学遺跡は、10世紀から17世紀にかけて東アフリカ沿岸で栄えたスワヒリ都市の一つであり、とりわけ15~17世紀に重要な交易拠点として機能した。この都市はインド洋交易ネットワークの一部として、アフリカ内陸部とアラビア海、南アジアを結び、文化的・経済的交流を行っていた。17世紀に放棄されたことで遺構が良好に保存され、スワヒリ建築や都市計画の特徴を今に伝えている。
ゲディは、内壁と外壁の二重構造を持ち、宮殿や大モスク、墓、住居などが配置されていた。内壁内には支配階級のための豪華な建築物があり、中国製陶器やペルシャ、インド、ヴェネツィアから輸入された贅沢品が発見されている。一方、外壁と内壁の間には一般住民向けの質素な住居が存在していた。また、この都市は洗練された水管理システムを備え、井戸や排水設備が整備されていた。これらの遺構は地元産のサンゴ石と石灰モルタルで建てられ、その都市計画はグリッド状の街路網を特徴としている。
ゲディ遺跡はスワヒリ文化の発展と繁栄を示す重要な証拠であり、インド洋交易を通じたアフリカとイスラム文化の融合を反映している。その建築や水管理技術は高い技術力を示し、スワヒリ文化特有の柱墓や装飾も見られる。また、この地域から出土した黒曜石や陶器類は国際交易ネットワークの広がりを物語る。
現在、ゲディ遺跡はケニア政府による保護下にあり、「ケニア国立博物館法」に基づき管理されている。周囲の熱帯雨林も保護対象となり、遺跡の景観維持に寄与している。2024年にはユネスコ世界文化遺産に登録され、その歴史的・文化的重要性が国際的に認識された。今後も観光管理や保存計画が進められ、持続可能な保全が目指されている。