基本情報
文化遺産
資産名:アル・ファーウ考古地域の文化的景観
正式名:The Cultural Landscape of Al-Faw Archaeological Area
国名:サウジアラビア
登録年:2024年
登録基準:(ii)(iii)(v)
概要
アル=ファウ考古地域の文化的景観は、サウジアラビア南部のルブアルハリ砂漠とトゥワイク山脈の間に位置し、先史時代から5世紀までの人類の居住と活動を示す重要な遺跡である。この地域は、古代の交易路上にあるオアシス都市として繁栄し、多様な文化や技術が融合した場であった。
遺跡には、旧石器時代や新石器時代の石器、紀元前3千年紀から2千年紀初頭にかけての葬祭通りや墳墓群、さらに紀元前1千年紀中頃に成立し5世紀まで存続したキャラバン都市カリヤト・アル=ファウの遺構が含まれる。この都市は、キンダ王国の首都として機能し、交易や農業を支える高度な灌漑システムや広大な農地が特徴であった。さらに、住宅地、商業地区、要塞、墓地などが発見されており、多文化的で国際的な交易都市としての繁栄を物語っている。
この地域は、アラビア半島南部、紅海沿岸、メソポタミア、ペルシャ湾地域との文化交流を示す考古学的証拠が豊富であり、多言語の碑文や岩絵が残されている。また、人類が気候変動に適応しながら土地を利用してきた歴史と、その脆弱性を示す例でもある。
遺跡は砂漠環境によって良好に保存されており、現在もその多面的な価値が評価されている。2024年にはユネスコ世界遺産に登録され、サウジアラビア政府による保護と管理が進められている。管理計画には文化財保護や観光開発が含まれ、地元コミュニティも関与している。アル=ファウは、人類史と環境適応を理解する上で重要な遺産である。