2024年新規登録遺産

ニア国立公園の洞窟群の考古学的遺産

基本情報

文化遺産

資産名:ニア国立公園の洞窟群の考古学的遺産

正式名:The Archaeological Heritage of Niah National Park’s Caves Complex

国名:マレーシア

登録年:2024年

登録基準:(iii)(v)

概要

ニア国立公園の洞窟群の考古学的遺産

ニア国立公園(ボルネオ島西海岸)に位置する洞窟群は、熱帯雨林と人類の関わりを示す最古の記録を含む重要な考古学遺跡である。石灰岩の巨大な洞窟群には、遺跡、岩壁画、舟形棺が残されており、少なくとも5万年前から中期完新世にかけての人類の発展と環境適応の過程を示している。この遺跡は、狩猟採集から稲作、樹木栽培、野菜栽培への移行を含む、人類の生存戦略の変遷を明らかにしており、古代人の移動と分布に関する研究にも貢献している。

文化的重要性

この遺跡は、氷期(更新世)から中期完新世にかけての異なる2つの集団が残した文化的伝統の証拠を持つ。これには、熱帯雨林での生活様式、森林管理(植栽文化)、精巧な葬送習慣が含まれる。また、東南アジアにおける人類の定住と土地利用の初期段階を示す重要な事例であり、気候変動に適応する過程を明らかにしている。

保存状態と真正性

遺跡の規模は十分であり、重要な考古学的要素(洞窟群、遺跡、岩壁画、舟形棺など)は良好な状態を維持している。地質的特徴も大きな変化はなく、発掘された遺跡は後世の改変を受けず保存されている。発掘物は移動されたが、適切に保管・展示されており、壁画も現存している。

保護と管理

遺跡は国有地であり、1951年の森林条例に基づくブキット・スビス保護林、1974年に設立されたニア国立公園の一部として保護されている。さらに、1998年の自然保護法および2019年のサラワク遺産条例によって州レベルでの保護も強化されている。管理はサラワク森林公社とサラワク博物館が主導し、地域コミュニティも関与している。2024年策定の統合保存管理計画に基づき、遺跡の保全が進められている。

課題

持続的な資金確保や専門人材の育成が求められているほか、岩壁画の劣化や発掘遺跡の藻類の増殖といった問題への対応が必要である。これらの課題に対処しつつ、遺跡の価値を未来へ継承する取り組みが続けられている。

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