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2024年新規登録遺産

ローマ帝国の境界線:ダキア

2025年2月25日

基本情報

文化遺産

資産名:ローマ帝国の境界線:ダキア

正式名:Frontiers of the Roman Empire - Dacia

国名:ルーマニア

登録年:2024年

登録基準:(ii)(iii)(iv)

概要

要約

ローマ帝国の国境 – ダキアの防衛線は、ダキア属州の西部・北部・東部の国境沿いに約1,000kmにわたって広がっていた。この防衛線は、ダキア王国の征服後、2世紀初頭に築かれ、3世紀後半にローマ帝国がダキアを放棄するまでの約170年間機能した。帝国の最北端を守るとともに、異民族の動向を監視し、金や塩などの貴重な資源を確保する 役割を担った。ダキアは、ローマ帝国にとって重要な金鉱山地帯であり、またドナウ川を挟んで帝国を脅かす北方民族への防波堤としての役割も担っていた。

ダキアはドナウ川の北側に完全に位置する唯一のローマ属州 であり、山岳地帯、森林、渓谷、平原、河川など多様な地形を有していた。この地形に適応するため、ローマ人は一連の軍事施設を構築し、仮設野営地、監視塔、人工障壁(城壁、土塁)、小規模な要塞、補助部隊の駐屯地、軍団要塞などを設置した。7つの陸上および河川国境が統一的な防衛線として整備され、8つ目の区域には高地の行軍キャンプが点在していた。

ダキア防衛線は、ローマ帝国の防衛戦略において特異な位置を占める。それは、国境を単なる障壁としてではなく、人々の移動を管理し、属州の定住パターン、建築、景観、空間構成に大きな影響を与えた点にある。これは、ローマの軍事建築技術や管理能力が地方に及び、文化的交流を促進したことを示している。

歴史的意義と特徴

  • 軍事建築の発展(Criterion ii)ダキア防衛線は、ローマ帝国の軍事建築技術が最前線で発展した例である。軍事施設と関連する民間居住地が広範な支援ネットワークを形成し、ローマ的な生活様式の定着を促した。
  • ローマ帝国の拡張の象徴(Criterion iii)この防衛線は、ローマ帝国の領土拡張の頂点を示し、植民地化のプロセス、軍事・建築・宗教・政治制度の普及を証明している。また、兵士とその家族の生活を理解する手がかりを提供する。
  • 軍事技術の適応力(Criterion iv)ローマ人は地形を最大限に活用し、河川や山岳地帯を自然の防壁として利用した。防衛線は、石造壁、土塁、軍事要塞、監視塔 など、多様な防衛手段を統合した高度な軍事建築の例となっている。

世界遺産クイズ

ダキアはローマ帝国にとってどんな点で重要だったでしょうか?

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