基本情報
文化遺産
資産名:ケノゼロ湖の文化的景観
正式名:Cultural Landscape of Kenozero Lake
国名:ロシア
登録年:2024年
登録基準:(iii)
概要
要約
ケノゼロ遺存文化的景観は、ロシア連邦のヨーロッパ地域北西部に位置するケノゼロ国立公園内にあり、12世紀以降のスラヴ人の定住によって発展した農村生活を伝えている。湖、川、森林、田畑に囲まれた美しい景観の中に、多くの伝統的な木造建築の集落が点在しており、過去の伝統的な生活様式の痕跡を残している。特に、木造の教会や礼拝堂 は、この地域の社会的・文化的な象徴であり、かつて天井に「天国」と呼ばれる装飾画が描かれたものもある。これらの建物の配置や、聖なる森、墓地、木製の十字架 などは、地域住民の精神的な世界観を示している。
文化的価値と意義
- 多様な木造建築(Criterion iii) ケノゼロ湖周辺の歴史的な木造建築群は、ロシア北部の文化的伝統を反映している。木材加工技術の発展を示し、初期の丸太建築が、洗練された住居や宗教建築へと進化した過程 を伝えている。また、歴史的な農村の集落パターンや、湖と川に適応した生活様式は、地域文化の継承を証明している。
保存状態と真正性
- 保存状況(Integrity)遺産の範囲には、文化的価値を示すすべての重要な要素が含まれている。20世紀初頭に存在した77の集落のうち62が完全に保存 され、約1,520の伝統的な宗教・住居建築が残っている。
- 真正性(Authenticity)伝統的な木造建築の構造、材料、デザインは、元の形状を維持したまま保存されている。また、農村集落の形態や、湖畔や田畑のレイアウトも大きく変化していない。20世紀には農業や生産体制の変化があったが、文化景観の雰囲気や精神性は維持され、地域の伝統的な生活様式も引き続き継承されている。