世界遺産とは 世界遺産基金

世界遺産基金

2021年6月27日

世界遺産基金の設立

世界遺産基金(World Heritage Fund)とは、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)の世界遺産保護を目的として設立された信託基金である。世界遺産条約(1972年)の第15条から第18条をもとに設立され、「世界遺産条約履行のための作業指針」などに、より詳しい規定がある。締約国の分担金や任意拠出金、および各種の寄付などを財源として、危機にさらされている世界遺産(危機遺産)の保護や、発展途上国の新規世界遺産登録の援助などに役立てられている。

締結国は2年に1度、拠出金を支払わなければならない。この拠出金の支払いが延滞している締結国は、世界遺産委員会の委員国に選出される資格がない。また、緊急援助以外の国際的援助(下記)を受けることができない。

世界遺産基金の財源については、世界遺産条約第15条第3項に以下のような規定がある。

3. 世界遺産基金の資金は、次のものから成る。
(a) 締約国の分担金及び任意拠出金
(b) 次の者からの拠出金、贈与または遺贈
(i) 締約国以外の国
(ii) ユネスコ、国際連合の他の機関(特に国際連合開発計画)または他の政府間機関
(iii) 公私の機関または個人
(c) 同基金の資金から生じる利子
(d) 募金によって調達された資金及び同基金のために企画された行事による収入
(e) 世界遺産委員会が作成する同基金の規則によって認められるその他のあらゆる資金

世界遺産基金の使途

緊急援助

緊急援助は、人為的かそうでないかを問わず、大規模災害などの不測の事態などによって重大な危機が迫っている、もしくは迫ることが予測される物件に対して適用される。たとえば、バムの大地震で主要建造物のほとんどが崩壊したバムとその文化的景観(イラン、2004年登録)の場合、緊急援助として5万ドルが拠出された。

準備援助

準備援助は、世界遺産リストへの登録に向けた準備、すなわち世界遺産の暫定リストの作成や比較研究、および推薦書の作成などの援助を目的とするものである。世界遺産の推薦に当たっては適切な形で価値を証明する推薦書を作成する必要があり、しばしば専門家たちの力を借りることになるが、それには多額の費用がかかる。日本の琉球王国のグスク及び関連遺産群(2000年登録)では推薦書作成に1億円以上かかったという話もある。

保全・管理援助

保全・管理援助のうち、旧分類でいう「研修・研究援助」は保全や管理などに携わる職員の育成や、保全や管理などに関わる調査・研究活動に対する援助である。たとえば、ドミニカ共和国唯一の世界遺産サントドミンゴの植民都市については、観光の影響に関する研究のために24,207ドルが拠出された。

模擬試験問題

世界遺産検定の模擬試験問題

 

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