文化的景観、文化遺産
遺産名:
コンソの文化的景観
Konso Cultural Landscape
国名:エチオピア
登録年:2011年
登録基準:(iii)(v)
概要:
コンソ (Konso) は、エチオピアの南部諸民族州内の地域名であると同時に、そこで暮らすエスニック・グループの名称でもある。コンソ地域は標高800 mから1800 mほどの山岳地帯にあり、そこで暮らす人々は資源の限られた自然環境の中で外敵の脅威などに備えつつ、最大限の農業生産性を上げようとして、さまざまな工夫を凝らして独特の文化様式を育んできた。その結果生まれた文化的景観は、2011年にUNESCOの世界遺産リストに登録された。なお、世界遺産登録時の評価対象には含まれなかったが、この地域のコンソ遺跡群からは175万年前の世界最古級の握斧などが出土しており、古人類学への貢献という面でも重要な地域である。
コンソの人々は標高1400 m 以上の山頂付近に要塞化した村を築き、そこから山麓まで石を組んで段々畑を展開している。周辺の他民族との境界線になっている川などの標高は600 m から800mである。山頂に住むようになったのは、他民族との戦いに備えるためと、標高の低い場所に出るマラリア蚊を避けるためという2つの理由によるとされている。村そのものの構造は、周囲を高い石垣に覆われた円形をしており、その中に木の柵で仕切られた民家が高い密度で林立している。人が多くなると、石垣の外側にさらに石垣を築いて外部に拡大するが、それでも対応できなければ他の山頂に枝村が作られる。
コンソは、祖先神のような英雄をかたどった木彫「ワーガ」も有名であり、彼らの伝統的な葬礼文化とも結びついている。ワーガを撮影するときには村人に許可を取る必要があるが、中にはそのときに撮影料をとる者もいる。ヨーロッパ人観光客には、世界遺産登録以前から人類学者の紹介などによって知っている者たちがおり、村によってはそういう観光客に木彫を販売する事例もあった。