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白神山地

2021年3月18日

概要

自然遺産
資産名:
白神山地
Shirakami-Sanchi
国名:日本
登録年:1993年
登録基準:(ix)
概要:
白神山地は、秋田県と青森県にまたがる約1,300㎢に及ぶ山岳地帯で、そのうちブナを中心とする原生林約170㎢が世界遺産に登録されている。ここにはブナなどの落葉広葉樹林が原生状態で生育しており、東アジアを代表するブナ原生林を形成している。また、絶滅危惧種のクマゲラやイヌワシ、特別記念物のニホンカモシカなどが生息している

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白神山地には、約,000年前に現在の分布域に達していたとされるブナなどの落葉広葉樹林が、比較的原生的な状態で残されている。現在世界に分布するブナは、日本のイヌブナを含め11種で、日本以外ではヨーロッパや北アメリカで確認できる。日本以外のブナは氷河期に大きく分布を変え、生物多様性を減少させたが、日本のブナは氷河に覆われることがなかったため、ブナの原生林に息づく生物多様性が保たれているという点が高く評価されている(登録基準 ix 【固有の生態系】)

概要

白神山地の地層と地形

白神山地は、青森県南西部から秋田県北西部にまたがる130,000haに及ぶ広大な山地帯の総称である。このうち原生的なブナ林で占められている区域16,971haが1993年12月に世界遺産として登録された。白神山地の地質は、およそ9,000万年前頃(白亜紀)にできた花崗岩を基盤に、2,000万年前~1,200万年前頃(新第三紀中新世)の堆積岩(凝灰岩、泥岩、砂岩)とそれを貫く貫入岩類(地下の深いところからマグマが上昇してできる岩。流紋岩、石英閃緑岩等)で構成されている。地形の特徴は、深い谷が入り組んでいて、谷壁が急傾斜をなすため、落差の大きな滝も数多く、景観にも優れている。白神山地では集落から遠く離れていたことや、地形が急峻だったことなどの様々な条件が重なり、長い歴史を通じてほとんど伐採が行われることはなかった。また、世界遺産に登録された地域では、現在も歩道や林道などは一切整備されておらず、太古からの森林がほぼそのままの姿で維持されている。

この地域は、約250万前の新生代第四紀初期までは一部が海域にあったが、第4紀後期に起こった急速な隆起によって山地ができた。この一帯では、年間約1.3mmという日本列島の中でも極めて速い速度で隆起が始まり、現在まで続いている。崩れやすい地層に加え、二哺乳数の多雪地帯であるため大量の水分が流れ込むことで地滑りが起こりやすくなる。この地滑りによって、数多くの河川や谷が白神山地一帯に誕生し、何万年もの間、隆起と崩落を繰り返して独特の地形を形成してきた。隆起から地滑り、山地崩落という連鎖によって、地層に溜まった雪や雨による水分が河川を経て海に戻っていくという、水分の循環作用が機能している。

ブナの原生林

現在の種としての日本のブナは、約100万年前に誕生したとされる。ブナの森林は、日本の他、ヨーロッパ、北アメリカ、中国、コーカサス山脈、台湾などにも分布している。まとまったブナの純林は、日本のほかにはヨーロッパにも見られるが、これらの地域では長らく薪炭の採集や放牧が行われてきたため、その植生は極めて単純である。また、ヨーロッパのブナ林は、最終氷期の発達に伴い、大半の地域がツンドラ地帯となったことから、ブナは大幅に減少し、現在の分布域に達したのはおよそ2,000年前頃と考えられている。こうした歴史の違いからも、日本のブナ林には、ヨーロッパと比較して5〜6倍の多様な植生が見られる

ブナ(橅)の木は従来、椎茸栽培以外にはあまり役に立たない木であったために伐採を免れたと言える。ブナはたくさんの小さな実を付けるために、果樹と同様に寿命が短く、寿命は200年ほどであると言われている。自然に放置して倒れたブナは他の樹木や生物の生存に欠かせない栄養分を供給する。白神山地のブナの原生林は樹齢の若いもの、大木、老木、倒壊し朽ちたものまであらゆる世代が見られる。もちろんブナだけでなく、カツラ、ハリギリ、アサダなどの大木も見られる。

白神山地は現在でも少しずつ隆起している地形で地盤が弱く、崖崩れが多発している。そのため、林道をつくっても崖崩れのために不通になってしまう場所が多い。また、冬期間は半年も雪に覆われる。そのため、大規模な林道建設を行うことが難しく、結果的に原生林が残されることになった

白神山地の植物相

白神山地の特徴は、人為の影響をほとんど受けていない原生的なブナ天然林が東アジア最大級の規模で分布していることにある。また、このブナ天然林には、固有種アオモリマンテマをはじめ約500種の植物が存在する。とくに稀少な108種の植物は、「保護すべき植物」として採取や損傷が禁じられている。

絶滅危惧種アオモリマンテマ (Flickr)

ブナーミズナラ群落、サワグルミ群落等をはじめ多種多様な植物が生育し、高緯度にもかかわらず、ツキノワグマ、ニホンザル、クマゲラ、イヌワシ等をはじめ非常に多くの動物が生息し、白神山地全体が森林博物館的景観を呈している。特に世界遺産地域は、最も良く原生状態が保たれており、その価値は、地球的に見ても極めて重要であると評価されている。
(青森県「世界遺産白神山地」より)

クマゲラ (Pixabay)

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関連動画へのリンク

世界遺産白神山地〈第1章 白神の世界〉

世界遺産白神山地〈第2章 白神と水の行方〉

世界遺産白神山地〈第3章 白神 命の繋がり〉

世界遺産白神山地〈第4章 白神に生きる〉

世界遺産白神山地〈第5章 白神の未来〉

是慶世界遺産!白神山地の四季(TBS)

UNESCO公式HP(英語版)へのリンク

https://whc.unesco.org/en/list/663

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