文化遺産
遺産名:
サン・サヴァン・シュール・ガルタンプの修道院教会
Abbey Church of Saint-Savin sur Gartempe
国名:フランス
登録年:1983年
登録基準:(i)(iii)
概要:
サン=サヴァン・シュル・ガルタンプ修道院付属教会は、フランスのヴィエンヌ県の都市サン=サヴァンにある中世以来の教会堂。保存状態の良好なロマネスク期の壁画36点が現存していることで知られ、ユネスコの世界遺産にも登録されている。
伝統的には、5世紀にマケドニアでの迫害から逃れてきた2人のキリスト教徒サヴァンとシプリヤンに遡る。彼らはガルタンプ川沿岸に逃れてきたが、そこで殉教し、現在のサン=サヴァン市の近くに葬られたという。この300年ほど後に彼ら2人に殉教地から聖遺物が発見されたことから、カール大帝の秘書官だったバディウスは、この地に聖遺物を納めておくための修道院を作ることを決めたという。アニャーヌのベネディクトゥス はヌルシアのベネディクトゥスの戒律を適用し、その地に20人ほどの修道士を住まわせた。
1010年にポワトゥー伯領とアキテーヌ伯領を治めていた女性領主オモド(Aumode) は、修道院に対して、現存する付属教会の建造を許可した。その後、付属教会の建造はオドン、ジェルヴェ両修道院長のもとで、1040年から1090年まで続いた。
13世紀にはフランス王ルイ9世の弟である伯爵アルフォンス・ド・ポワティエが、修道院施設建造のための資金援助を行った。その後、百年戦争中はイングランド側、フランス側と所有者を変えつつも繁栄した。
修道院教会の中枢をなす部分である身廊には、天井画が描かれているがその人物たちは2メートルほどの大きなスケールで描かれている。天井画は創世記や出エジプト記の情景を描いたもので、さながら大きな絵本のように読み進めるようになっている。その中には天地創造の物語やカインとアベルの物語のほか、エノクやノアの箱舟のエピソードを見出すことが出来る。ノアの箱舟は、この付属教会の壁画群の中でも最も有名な場面の一つである。ここで描かれている船は、さながらヴァイキングの船のようであるが、艪も帆もない。ほかに船から出たノアたちを神が祝福する場面やノアが酔いつぶれる場面、バベルの塔の建設、アブラハムの召命、アブラハムとロトの別れなどが描かれている。
(Wikipediaより)