文化遺産
遺産名:
フェルクリンゲンの製鉄所
Völklingen Ironworks
国名:ドイツ
登録年:1994年
登録基準:
(ii)(iv)
概要:
フェルクリンゲン製鉄所 (Völklinger Hütte) は、ドイツの1世紀を超える歴史を持つ旧製鉄所である。銑鉄精錬の全工程を追体験できる施設は他に類例がない。この製鉄所は『工業文化のイコン』あるいは『労働のカテドラル』と称される。
1994年、ユネスコはフェルクリンゲン製鉄所を世界遺産に登録した。これは近代の産業遺産としては世界初の例であった。2007年にはドイツにおける歴史を象徴する産業建築にノミネートされた。
フェルクリンゲン製鉄所は、現在ヨーロッパの産業文化遺産の中で最も重要な位置を占めている。ヨーロッパ産業遺産の道のアンカーポイントである。また、フェルクリンゲン製鉄所内では多くの文化行事が開催されており、年間20万人を超える訪問者がいる。
1873年に製鉄技術者のユリウス・ブーフがザール川に面したフェルクリンゲン近郊に製鋼所を創設したことに始まる。この製鋼所は、わずか6年後には銑鉄に対する高い関税が原因で精錬の採算が合わなくなったため、閉鎖された。
1881年にカール・レヒリングにより新しい精錬工場が設けられた。彼は閉鎖されていた施設を買い取り、2年後に最初の溶鉱炉を稼働させた。その後、早くも1890年には、「Röchling’schen Eisen- und Stahlwerke」(レヒリング製鉄・製鋼所)は、鉄製トラスのドイツ最大の生産者となっていた。