文化遺産
資産名:
ポンペイ、エルコラーノ及びトッレ・アヌンツィアータの遺跡地域
Archaeological Areas of Pompei, Herculaneum and Torre Annunziata
国名:イタリア
登録年:1997年
登録基準:(iii) (iv) (v)
概要:
イタリアのナポリ郊外に位置するポンペイとエルコラーノは、紀元79年のヴェスヴィオス火山噴火に伴う火砕流によって一瞬のうちに街全体が壊滅し、火山灰によって埋もれたため、長い間知られることもありませんでした。16世紀末に偶然発見され、18世紀中頃以降発掘が進むと、噴火当時そのままの建造物や街路、美術品、犠牲者の胴体などが発見され、ローマ帝国市民の生活が明らかになりました。
ポンペイの歴史
紀元前6世紀に建設されたとされるポンペイは、紀元前80年以降ローマの傘下に入った。当時のポンペイは海に面した港町で、ローマの文化が多く流入する中で発展していた。港は地中海貿易の拠点として栄え、長らく噴火のなかったヴェスヴィオ山の斜面ではブドウなどの栽培が営まれていた。ポンペイでは羊毛加工と並び、ワインの醸造が主要な経済活動のひとつとなっていたのである。
西暦79年8月24日にヴェスヴィオ山が大噴火した。この噴火は13時頃に始まり、水蒸気爆発のあと、大量の軽石が噴出し、周囲に堆積していった。軽石の堆積は1時間当たりにおよそ15cmのペースであったとされ、同じ日の18時には屋根に堆積した軽石によって潰される家屋が出はじめたという。この間、断続的に火砕流が起きたと考えられているが、その最大規模のものは翌朝7時に発生し、周辺の町を住民もろとも飲み込んだ。
ポンペイの発掘
ポンペイも周辺の遺跡も埋もれたままになっていたが、16世紀には建築家ドメニコ・フォンターナが水路建設の途中で建物の一部を発見した。しかし、このときはまだ遺跡の全体像は認識されていなかった。転機となったのは18世紀にヘルクラネウムの遺跡が発見されたことである。これを契機に1748年からブルボン家のカルロが主導する形でポンペイの発掘調査も始められた。1760年に建築家のフランチェスコ・ラ・ヴェーガが発掘作業の指揮を執るようになると、より体系的な発掘調査が行われるようになり、町の南部で大小の劇場だけでなく、エジプトの神イシスを祀る神殿も発見された。
19世紀に入ると、まず1812年から13年の調査でフォルムなどが発見され、1830年には「アレクサンドロス大王とダレイオス3世の戦い」をはじめとするモザイクで飾られた「ファウノの家」などが出土した。そして、1863年に考古学者ジュゼッペ・フィオレッリが、火山灰土中の空洞に石膏を流し込むという手法で、火砕流に巻き込まれた後、遺体が分解した人々の最期の姿を復元する手法を導入した。1875年まで指揮を執ったフィオレッリは、発掘手法の進歩にも貢献し、彼が退いた後も、次々に重要な建造物は発見された。すでに全体の8割が発掘されているといわれる。
主な構成資産
ポンペイ
ポンペイ南部にスタビア門があり、そこからスタビア通りが伸びている。スタビア門から見て通りの右側(北東側)が第I地区とされており、反時計回りに第IX地区までに分けられている。第I地区では1927年から1932年にかけて「メナンドロスの家」が発見された。
スタビア通りをはさんで第V地区の西に位置するのが第VI地区で、この地区では、アレクサンドロス大王のモザイク画が発見された「ファウノの家」などがある。
秘儀荘(ポンペイ)
内部に「ディオニュソス秘儀」の壁画が描かれていることから、そのように呼ばれる。ディオニュソス秘教は、当時の南イタリアで流行していた官能性を備えた信仰で、秘儀荘の女主人ないし主人の妻は、その巫女ないし祭司のような存在であったと考えられている。秘儀荘の壁画は儀礼書の朗読、供犠、鞭打ちなど様々な場面が描かれているが、これはディオニュソス秘教の入信儀式に関する秘儀を描いたものと考えられている。
ヘルクラネウム
ヘルクラネウム (Herculaneum, ID829-003) は、現在のエルコラーノで18世紀に発見された都市遺跡で、ポンペイの本格的発掘の呼び水にもなった。人口5,000人ほどだったとされる高級保養地で、世界遺産登録面積は9.42haである。
建築物の遺跡としては、アウグスティヌス帝時代に建設された共同浴場、貸家にしようと改装していた途中で被災した貴族の館「宿屋の家」、海神とその妻を描いたモザイク画が残る「ネプトゥヌスとアンフィトリテの家」、ヘルクラネウムで最も独創的と評される「美しい中庭の家」、発掘開始200周年に当たる1938年に出土した「200年記念の家」、彫刻やフレスコ画で美しく飾られた「鹿の家」などが残る。
ポンペイとの違いは、冷えて固まった土石流の厚い層と地下水による湿度との作用で、木や紙で燃えたり腐ったりせずに残ったものが出土していることである。建築物でも、壁の骨組みとしての木材が残る「木の格子組の家」のほか、「炭化した仕切りのある家」「炭化した家具のある家」などが残る。
(Wikipediaより)
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関連動画へのリンク
ドキュメンタリー映画 Vesuvius: The Catastrophe of Pompeii
Pompeii : Behind the Scenes
Rick Steves' Europe
UNESCO公式HP(英語版)へのリンク
https://whc.unesco.org/en/list/829