登録抹消(2021年7月21日〕
遺産名:
リヴァプール海商都市
Liverpool – Maritime Mercantile City
登録年:2004年
登録基準:(ii)(iii)(iv)
概要:
この物件は、ピア・ヘッド、アルバート・ドック、ウィリアム・ブラウン・ストリートをはじめ、多くのランドマークが含まれるリヴァプール中心市街の6つの区画を対象としている。リヴァプールが大英帝国絶頂期の海洋交易拠点の姿を伝える傑出した例証であることが認められ、世界遺産リスト登録が決定した。ピア・ヘッドは、スリー・グレイシズと呼ばれるロイヤル・リヴァー・ビルディング 、ドック・ビルディング、キューナード・ビルディング が存在している場所である。アルバート・ドックはピア・ヘッドの南に位置し、美術館テート・リバプール、マージーサイド海洋博物館 、ビートルズ・ストーリーなどの観光名所が存在している。(Wikipediaより)
Photo by barnyz, Phil Fiddyment, jinxsi1960, John Timperley from Flickr
登録抹消の経緯
危機遺産リスト入り(2012年)
海商都市リヴァプールは2004年に登録されたイギリスの世界遺産で、18~19世紀に整備された港湾施設(係留護岸・船渠・荷揚げ後の運送・倉庫・商取引所など)と船乗りのための教会、パブやコーヒー・ハウスなどの商業施設が往時のまま残されている点が評価された。しかし、再開発により現代建築が混在するようになり、著しく景観が損なわれ、都市環境破壊であるとし2012年に危機遺産リスト入りした。
登録抹消(2021年)
イギリス政府や市は、建設計画に関して高さ制限や外観意匠を周囲に馴染ませたトラディショナル・サクセション・アーキテクチャにする設計変更など妥協案を示してきたが、「都市再開発は都市の世界遺産における必然的命題で、リセールバリューしなければ住民の生活向上や世界遺産維持の費用も捻出できない」とし再開発計画は継続するとした。
これに対し文化遺産の諮問機関である国際記念物遺跡会議(ICOMOS)は「世界遺産の保全に際して地域住民・地域コミュニティの参加協力を求めているが、リヴァプールの再開発はジェントリフィケーションを引き起こしており、新住民に今後地元を愛する気持ちが芽生えるか不確定」と指摘。ICOMOSが住民のジェントリフィケーションにまで言及したことは、世界遺産を管理する上で行政は人口滞流まで考慮しなければならない課題を突きつけることになった。
第44回世界遺産委員会での議決は4日間におよび、2021年7月21日、非公開での投票によって登録抹消が決定した。
主な構成資産
ピア・ヘッド
ピア・ヘッド (the Pier Head) は、スリー・グレイシズ(Three Graces、美を司る3女神、三美神)と呼ばれるロイヤル・リヴァー・ビルディング (Liver Building) 、ドック・ビルディング (Port of Liverpool Building) 、キューナード・ビルディング (Cunard Building) が存在している場所である。この地域はリヴァプールの水辺の中心的位置にあり、19世紀から20世紀にかけての港の繁栄ぶりを伝えるものとなっている。
アルバート・ドック
アルバート・ドックはピア・ヘッドの南に位置し、美術館テート・リバプール、マージーサイド海洋博物館 (Merseyside Maritime Museum) 、ビートルズ・ストーリー (The Beatles Story) などの観光名所が存在している。ジェシー・ハートリー (Jesse Hartley) によって設計され1846年に開かれたアルバート・ドックの倉庫は、木材を用いず鉄、レンガ、石だけを使った世界初の完全耐火倉庫である。
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