文化遺産
遺産名:
ポツダムとベルリンの宮殿と庭園
Palaces and Parks of Potsdam and Berlin
国名:ドイツ
登録年:1990年
登録基準:(i)(II)(iv)
概要:
ポツダムとベルリンの宮殿群と公園群は、ドイツのポツダムとベルリンにある複数の旧宮殿建造物とその付属庭園(公園)その他の総称。代表的なものとしては、フリードリヒ大王(2世)の離宮サンスーシ宮殿や、ポツダム会談で使われたツェツィーリエンホーフ宮殿がある。18~19世紀にかけてプロイセン王国の君主たちが築いたもので、周囲の自然と調和して芸術的ともいえる美しい景観を形成している。なかでも必見は、ドイツ・ロココ建築の傑作と謳われるサンスーシ宮殿。フリードリヒ2世がヴェルサイユ宮殿を模して建てた夏の離宮で、サンスーシとはフランス語で「憂いなし」という意味である。(Wikipedia、阪急交通社HPより)
歴史
プロイセン王国
プロイセン王国は、18世紀から20世紀初頭にかけて栄えた王国である。その前身は1660年のオリヴァ条約でポーランド王国の封土の地位から独立したプロイセン公国(首都ケーニヒスベルク)、および神聖ローマ帝国のブランデンブルク辺境伯領(首都ベルリン)である。1701年1月18日、ブランデンブルク選帝侯・プロイセン公フリードリヒ3世はケーニヒスベルクにおいて王として戴冠し、初代プロイセン王フリードリヒ1世となった。1871年のドイツ帝国成立によって形式的な国家になったものの、1918年11月9日に第9代プロイセン国王兼第3代ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世が退位するまでプロイセン王国は続いた。
フリードリヒ2世 (プロイセン王)
フリードリヒ2世(Friedrich II., 1712年1月24日 - 1786年8月17日)は、第3代プロイセン王。優れた軍事的才能と合理的な国家経営でプロイセンの強大化に努め、啓蒙専制君主の典型とされる。また、フルート演奏をはじめとする芸術的才能の持ち主でもあり、ロココ的な宮廷人らしい万能ぶりを発揮した。フランス文化を知り尽くすなど学問と芸術に明るく、哲学者のヴォルテールと親密に交際し、全30巻にも及ぶ膨大な著作を著し哲人王とも呼ばれ、功績を称えてフリードリヒ大王(Friedrich der Große)と尊称されている。哲学者イマヌエル・カントはフリードリヒの統治を「フリードリヒの世紀」と讃えた。
主な構成資産
サンスーシ宮殿
サンスーシ宮殿(Schloss Sanssouci)は、ドイツ北東部の首都ベルリンから南西約30km、ブランデンブルク州の州都ポツダム市街の西に広がるサンスーシ公園北東部に建つロココ建築の宮殿。「サンスーシ (Sans Souci)」とは、もともとフランス語で「憂いなし」を意味し、日本や中国では漢訳して無憂宮とも呼ぶ。
プロイセン王国時代の1745年から1747年にかけて、フリードリヒ2世の命によってわずか2年で建てられた。フリードリヒ2世が開始した第二次シュレージエン戦争のさなかに実行されたこの建築計画による散財は、マリア・テレジア率いる敵対国オーストリアに対する挑戦的行為ともとらえられたかもしれない。この宮殿は「陰鬱なベルリンの王宮」を離れて暮らすための、政治的機能から切り離されたフリードリヒ2世の「夏の離宮」として建てられた。だが、結果的にはサン・スーシの宮殿は離宮ではなく、フリードリヒ2世の居城として機能した。この宮殿の建築に関しては、フリードリヒ2世自ら設計の一部を行った。
専門家として設計を担当したフリードリヒ2世の友人の建築家クノーベルスドルフは、より壮麗な宮殿の建築プランを提案したが、王の趣味を反映してこぢんまりとした瀟洒な建物として建築された。規模は東西の全長が100メートル、部屋数12、宮殿としては小さいサイズである(たとえばヴェルサイユ宮殿は部屋数700、ルーヴル宮ではクール・カレの中庭ですら一辺が100メートルある)。またサン・スーシ宮殿は平屋建てで、ヴェルサイユやルーヴル、シェーンブルンの多層構造を持つ宮殿に比べると高さはずっと控えめである。
宮殿中央部は大理石造りの広間「楕円の間」で、ここでは晩餐会や音楽会が行われた。両端に「円形の間」がある。西翼は客用でヴォルテールが一時期滞在したことでも知られる。東翼はフリードリヒ2世の私室があり、執務室兼寝室や書斎が置かれた。なお、七年戦争後に、プロイセンの国威発揚のため、近くにヴェルサイユ宮殿を模した大規模な宮殿が建てられた。これを新宮殿と呼ぶ。
サン・スーシ宮殿は外装は簡素だが、室内はいわゆる「フリードリヒ式ロココ」(Friderizianisches Rokoko)の様式で、壁から天井まで豪華に飾られている。同様式は18世紀ヨーロッパで流行した装飾スタイルに追従し、自然な花綱飾りと主調色として用いられるパステル・カラーを様式上の特徴としている。
サンスーシ庭園
18世紀の状態と同様に、現在でも宮殿の前には6段に連なるテラスが展開し、その左右に整然と列をなす並木群が植えられている。庭園は直角に交差する散歩道を有し、樹木や彫像が左右対称に配されている。これはヴォー=ル=ヴィコント城やヴェルサイユ宮殿の庭園に代表される平面幾何学式庭園、いわゆるフランス・バロック庭園様式の特徴である。
Photo by riesebusch, Sprachenatelier Berlin, Carlos Reis, Sprachenatelier Berlin, Berlin Global, Joan, riesebusch from Flickr
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