文化遺産
遺産名:
ヴェローナの市街
City of Verona
国名:イタリア
登録年:2000年
登録基準:(ii)(iv)
概要:
ヴェローナの街の中心部には古代ローマ時代の円形競技場跡があり、街の象徴となっているほか、中世の町並みがよく残っており、2000年には「ヴェローナ市街」としてユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録された。シェイクスピアの戯曲『ヴェローナの二紳士』『ロミオとジュリエット』の舞台としても知られる。
Theme From Romeo and Juliet " A Time For Us" ( 1968 ) - Henry Mancini & His Orchestra
アディジェ川のほとりのヴェローナには、古代ローマ時代、ロマネスク様式が流行した時代、スカーラ家が統治した時代、ルネサンス期などさまざまな時代の遺構が残る。街の中央に位置するアレーナ・ディ・ヴェローナ(円形闘技場)は、ローマ帝国時代のもので、直径は150m、2万人を収容できる規模だった。ほかにも、サン・マルコの円柱が残るシニョーリ広場やエルベ広場、ラジョーネ宮殿(コムーネ宮)、スカリジェーリ家の廟、ローマ劇場などの歴史的建造物が残る。シェークスピアが『ロミオとジュリエット』の舞台としたことでも知られ、ロミオの家とジュリエットの家も実在する。(『世界遺産大事典』より)
円形闘技場
アレーナ・ディ・ヴェローナ(Arena di Verona)の名で知られる円形闘技場は、紀元前1世紀初めに作られたと考えられている。ローマのコロッセオ、ナポリの円形劇場に次ぎ、イタリア国内3番目の大きさを誇り、収容人数は2万5000人。舞台や座席も残り、イタリア国内で最も保存状態が良いといわれている。
毎年6月から8月にかけてオペラ公演が行われている。この夏のオペラ・シーズンは、規模、演奏水準ともヨーロッパでも屈指の音楽祭であり、オペラ・フェスティヴァルでは「ドン・ジョヴァンニ」「アイーダ」「カルメン」「トゥーランドット」「ロメオとジュリエット」「トスカ」などが上演される。このフェスティバルの初演は、1913年のアイーダだった。2021年には、プラシード・ドミンゴなどの出演で、6月から9月まで開演された。
https://www.italybyevents.com/en/events/veneto/arena-di-verona-opera-festival/
エルベ広場
エルベ広場(Piazza delle Erbe)の「エルベ」は野菜の意味で、その名の通り野菜の市が開かれた場所である。長方形の大きな広場で、古代ローマからの歴史を持つ。広場には、ヴェネツィア共和国の象徴であったサンマルコの円柱やカンピオーネの作によるマドンナの噴水がある。広場の奥には17世紀に建てられたバロック様式のマッフェィ宮殿が建つ。
ヴェッキオ城
ヴェッキオ城(Castelvecchio)は、14世紀後半にカングランデ2世により建築された。以後は、スカラ家の居城として用いられる。赤いレンガでできている城壁と6つの塔、跳ね橋が残る。ナポレオンがヴェローナを支配したときはこの城が兵舎として使われた歴史も持つ。現在は、市立博物館となっている。
城からアディジェ川に向って、スカリジェロ橋がかかる。橋は、白い石で基礎とアーチが、他の部分は赤いレンガで作られた3重橋。第二次世界大戦中に退却するドイツ軍により爆破されてしまった。しかし戦後、石を拾い集めて復元された。
ジュリエットの家
ジュリエットの家(Casa di Giulietta)と呼ばれる家は、『ロミオとジュリエット』においてジュリエットのモデルとなったカプレーティ家の娘の家。映画や舞台で有名なバルコニーも見られる。ただしシェークスピアがイタリアを訪れた記録はない。
前庭にはジュリエットの像も建つ。館内には当時の家具や日用品を展示している。
また、同様に「ロミオの家」(Casa di Romeo)も残っているが、個人所有のため非公開である。
参考文献
世界遺産クイズ
映画『ロミオとジュリエット』(1968年)より
関連動画へのリンク
愛の街ヴェローナ-ロミオとジュリエットの伝説
ヴェローナ市(ユネスコ/ NHK)
UNESCO公式HP(英語版)へのリンク
https://whc.unesco.org/en/list/797