文化遺産
遺産名:
オランジュの凱旋門、ローマ劇場とその周辺
Roman Theatre and its Surroundings and the "Triumphal Arch" of Orange
国名:フランス
登録年:1981年
登録基準:(iii)(vi)
概要:
プロヴァンス・アルプ・コート・ダジュール地方のローヌ渓谷に位置するオランジュの古代劇場は、長さ103m、高さ37mのファサードを持ち、ローマ劇場の中でも最も保存状態の良い劇場の一つである。キリスト教時代の初期に建設されたこの古代劇場は、ヴィトルヴィウスによるラテン劇場のすべての構成要素を備えている:カベア(半円形の段)、側面のアクセス、パラスケニアに挟まれた驚くほど保存状態の良い舞台壁。柱とニッチに置かれた多数の彫像が舞台を飾っていた。中央の大きなニッチに移されたアウグストゥス像を含め、このオリジナルの装飾の名残はわずかである。391年に勅令によって閉鎖された後、劇場は放棄され、後に蛮族によって略奪された。1825年に開始された修復作業により、古代劇場が生まれ変わったのは19世紀になってからのことである。紀元後10年から25年にかけて建造されたオランジュのローマ凱旋門は、パクス・ロマーナの成立を記念する低いレリーフのおかげで、私たちに伝わっているアウグスト時代の凱旋門の中で最も美しく興味深いもののひとつである。南北の壁面には、独立時代のガリア人の武器が扇形に描かれ、東西の壁面には、ガリア人が鎖につながれて描かれている。このような装飾に加え、舳先、オール、錨、アプルストレといった海軍の遺構があり、アクティウムの勝利がローマに与えた海洋世界の支配権を思い起こさせる。最後に、屋根裏部屋の上部では、ローマ人とガリア人の騎兵と歩兵が激突している。13世紀に砦となり、18世紀に部分的に修復され、19世紀に修復されたオランジュの凱旋門は、ローマ・ガリアの最も注目すべき遺跡のひとつである。
基準(iii):アウグスト時代のオランジュ劇場は、ローマ劇場の類型の中でも例外的な例である。
基準(vi):オランジュの凱旋門の北面に彫られた低いレリーフに言及されている出来事(蛮族との戦争とパクス・ロマーナの確立)は、普遍的な意義を持つ。
(世界遺産センターHPより)
ローマ劇場
古代劇場 (Théâtre antique) とも呼ばれる。1世紀、アウグストゥスの治世下で建造されたものであり、1951年に3.55メートルのアウグストゥス像も発見された。この像は、現在はもともと置かれていた場所と推測される壁龕に納められている。この劇場の収容人数は8000人から10000人程度だったと推測されている。
1869年からは毎年夏に芸術祭が開催されている。当初「ローマ祭」(fêtes romaines) と名付けられていた祭りは1902年にコレジー (Chorégies d'Orange) と改称され、現在に引き継がれている(コレジーはギリシャ語で「舞踏」などの意味)。
凱旋門
オランジュの凱旋門は、かつてのアグリッパ街道(リヨンとアルルを結んでいた)の途上に、紀元前20年頃に建てられたものである。古代劇場や現市庁舎のある区画からは少し北に外れた場所にある。
刻まれたレリーフの中では、特にガリア人とローマ人の戦闘や戦利品などが描かれた北面の保存状態が良好である。