文化遺産
資産名:
杭州にある西湖の文化的景観
West Lake Cultural Landscape of Hangzhou
国名:中国
登録年:2011年
登録基準:(ii)(iii)(vi)
概要:
杭州市の中心部に位置する西湖の風光明媚な景観は、唐の時代から白居易をはじめ多くの詩人や学者、芸術家たちを引きつけてきました。湖畔には多くの寺院、仏塔、庭園、人工の島などが配置され、美しい景観を作り出しています。西湖は、数世紀にわたって中国内だけではなく、日本や韓国の庭園設計にも大きな影響を与えました。自然環境に加え、1,000年以上に及ぶ周辺の人々の努力が美しい景観を作り出しています。月が美しい「三潭印月」や、夕景が美しい「雷峰夕照」、雪見の名所「断橋残雪」や、詩人としても名高い蘇東坡が建築した「蘇堤」など合わせて10ヶ所が「西湖十景」として多くの中国人に親しまれてきました。
白居易と西湖
白居易は772年に生まれた。子どもの頃から頭脳明晰で、5-6歳で詩を作ることができ、9歳で声律を覚えたという。29歳で科挙の科目で礼部主催の進士科に試験官高郢のもとで合格した。長慶元年(821年)中書舎人に転任することによって中央に呼び戻されるが、まもなく自ら地方の官を願い出て、長慶2年(822年)杭州・蘇州の刺史となり、行政官として治水を進めるなどして業績をあげた。74歳のとき自らの詩文集『白氏文集』75巻を完成させ、会昌6年(846年)、洛陽履道里の邸宅にて、75歳で生涯を閉じた。 (Wikipedia)
杭州の刺史となった白居易は、杭州の水不足問題を解決するために、西湖の堤防を増強し、水門を整備した。それとともに、詩人として、西湖の美しさを讃える多くの漢詩を残した。
白居易『春題湖上』
湖上春来似画図 湖上春来たりて 画図に似たり
乱峰囲繞水平鋪 乱峰囲繞して 水平らかに鋪く
松排山面千重翠 松は山面を排して 千重の翠
月点波心一顆珠 月は波心に点じて 一顆の珠
碧毬線頭抽早稲 碧毬の線頭は 早稲を抽き
青羅裙帯展新蒲 青羅の裙帯は 新蒲を展ぶ
未能抛得杭州去 未だ杭州を抛ち得て去る能わず
一半勾留是此湖 一半勾留するは 是れ此の湖
[ 訳 ]
西湖に春がやって来て 絵のように美しい
重なる峰に囲まれて 湖水は平らかである
松は山腹に並び立ち 幾重もの緑色
月は湖に影を落とし 一粒の真珠のようだ
絨毯の毛先かと思う緑は 早稲の穂先
羅の帯かと見える青色は 蒲の新芽だ
杭州を投げ捨てて 立ち去ることができないのは
半ばは この湖があるからだ
出典:『漢詩を楽しもう:tiandaoの自由訳漢詩』より
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