2024年新規登録遺産

バダインジャラン砂漠:砂の塔と湖群

2025年2月25日

基本情報

自然遺産

資産名:バダインジャラン砂漠:砂の塔と湖群

正式名:Badain Jaran Desert - Towers of Sand and Lakes

国名:中国

登録年:2024年

登録基準:(vii)(viii)

概要

要約

バダインジャラン砂漠 は、中国北西部のアラシャン高原に位置し、面積は約72万6,000ヘクタール、緩衝地帯を含めると89万1,000ヘクタール に及ぶ。中国で3番目に大きな砂漠であり、世界で最も高い安定した砂丘(最大460mの相対高度)と、無数の湖が共存する独特の自然景観 を持つ。砂漠の形成は現在も進行しており、気候変動や青海チベット高原の地殻変動 の影響を受けながら変化し続けている。このため、長期的な気候変動や砂漠化のプロセスを理解するための貴重な研究対象 となっている。

砂丘の間には144の湖が点在し、ほとんどが塩湖 であるが、塩分濃度の違いや微生物の影響により多様な色彩 を持つ。さらに、風が砂を動かすことで発生する「鳴き砂(シンギングサンド)」が生み出す独特の音響環境も特徴的である。植物は比較的少ないが、砂漠には多様な生態系が広がり、主に夜行性の動物が生息している。

自然の価値と特徴

  • 壮大な砂丘と湖の景観(Criterion vii)バダインジャラン砂漠は、砂丘と湖が織りなす壮観な景観を持ち、世界的に見ても類を見ない自然美を誇る。巨大な安定砂丘群 が密集し、その間にある湖がカラフルな色彩を見せることで、他の砂漠にはない独特の景観を形成している。また、風食地形やオアシス、風紋などの砂漠特有の地形要素 が見られ、砂丘の動きによって絶えず変化する視覚環境 も魅力の一つである。
  • 砂漠地形の進化の記録(Criterion viii)この地域は、中国の3つの砂漠地帯が交わる地点にあり、砂漠の形成と進化を示す重要な地形学的証拠 を持つ。砂丘の直線的な安定性や湖の分布は、地域の地殻変動と気候の変遷による相互作用の結果 であり、世界的にも珍しい例とされる。IUCN(国際自然保護連合)は、世界遺産に未登録の砂漠地帯の中で最も重要な地域の一つ として、この砂漠を高く評価している。

世界遺産クイズ

バダインジャラン砂漠がもつ世界一の特徴は何ですか?

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