文化的景観
遺産名:
シャンパーニュの丘陵、醸造所(メゾン)と貯蔵庫(カーヴ)
Champagne Hillsides, Houses and Cellars
国名:フランス
登録年:2015年
登録基準:(iii)(iv)(vi)
概要:
フランスのシャンパーニュ地方で作られるスパークリングワイン、シャンパーニュ(シャンパン)の産地の文化的景観。「メゾン」(maison)はフランス語で「家」を意味する一般的な語だが、他にも様々な意味を持つ。シャンパーニュではシャンパン製造業者 (Maison de Champagne) の意味もあり、シャンパン関連の日本語文献では、しばしばそのまま「メゾン」とカタカナ表記される。「カーヴ」(cave) は地下室、地下倉などの意味で、地下のワインセラーの意味もある。この語もまた、シャンパンの熟成庫や醸造施設の意味として、日本ではそのままカタカナ表記されることがしばしばである。世界遺産になっているのは、シャンパンに使われるブドウの栽培地、地下に広がるカーヴ群、世界的に名の知られたメゾンや、それが並ぶ大通りなどで、ブドウ生産からシャンパン販売までを包含している。
発泡性の白ワインのひとつであるシャンパンが登場するのは、17世紀後半のことである。伝説的な起源では、オーヴィレール修道院の修道士ドン・ペリニヨンが、発泡性のワインを生み出したとされる。しかし、それ以前にロンドンで発泡性のワインは誕生しており、その詮にコルクを使うことも行われるようになっていた。こうしたことから、ドン・ペリニヨンをシャンパンそのものの起源と位置づける説は疑問視されている。しかしながら、異なるブドウ品種やワインをブレンドしてシャンパンを作る手法を確立した功績は、ドン・ペリニヨンに帰せられている。そのドン・ペリニヨンのものも含めたシャンパンは、17世紀末にはイギリスにも輸出され、玉石混交だった当時のイギリスワインに比べ、高級ワインとして受け入れられた。
(Wikipediaより)
主な構成資産
オーヴィレール、アイ、マルイユ=シュル=アイの歴史的丘陵地
ランスとエペルネーの間には、モンターニュ・ド・ランスと呼ばれるブドウ栽培地が広がる。オーヴィレール、アイ、マルイユ=シュル=アイの3つの(旧)コミューンにまたがる丘陵地はマルヌ川沿いにあり、モンターニュ・ド・ランスに含まれるが、隣接するブドウ栽培地のヴァレ・ド・ラ・マルヌの一部とされることもある。それらの丘陵地は、記録上裏付けられる範囲での、シャンパーニュ最古のブドウ栽培地群を対象としており、一緒に登録された4件のカーヴも、カーヴの中では初期の様子を伝えるものである。
ランスのサン=ニケーズの丘
ランスは1991年に、ノートルダム大聖堂、サン=レミ旧大修道院、トー宮殿の3件が世界遺産リストに登録された都市である。ノートルダム大聖堂とトー宮殿はランス市街中心部にあるが、サン=レミ聖堂のみはそこから南に1kmほどのところに位置している。そのサン=レミ聖堂の近傍には、大手メゾンが集中し、見学可能なカーヴも複数ある。登録対象になっているサン=ニケーズの丘 (Colline Saint-Nicaise) は、その大手メゾンが地下に保有するカーヴ群、ならびにドゥモワゼル邸 (Villa Demoiselle) など、メゾンが地上に建てた建造物などを含む。
エペルネーのシャンパーニュ大通り
エペルネはシャンパーニュのメゾンが多くある町で、住民一人当たりの所得が国内最高とも言われる。その中心部にあるのがレピュブリック広場で、世界遺産になっているシャンパーニュ大通りは、そこから東に伸びる1キロメートルほどの街路である。
この大通りには、ドン・ペリニヨンを生産し、シャンパン出荷量が世界最大のメゾンモエ・エ・シャンドンがある。同社は1743年創業で、3代目のジャン・レミー・モエはナポレオン・ボナパルトの学友だった。モエ・エ・シャンドンのブリュット・アンペリアルは、その後も続いたナポレオンとの交流に因むものだという。ジャン・レミーはまた、ドン・ペリニヨン修道士とゆかりがあったオーヴィレール修道院を買い取った人物でもあり、以降、「ドン・ペリニョン」の名はモエ・エ・シャンドンが擁する最高級ブランド名となっている。モエ・エ・シャンドンは現在、ルイ・ヴィトンなども擁する高級ブランド企業LVMHの一部である。
(Wikipediaより)