トランスバウンダリー・サイト (Trans-boundary Site)とは
トランスバウンダリー・サイト(国境を越える遺産)は当初、人為的な国境線にとらわれない自然遺産の登録推薦の際に提案されたもので、多国間の協力の下で遺産を保護・保全することを目指していた。しかし、文化遺産の場合でも、『ベルギーとフランスの鐘楼群』のように、かつて1つの民族・文化圏であった地域が、近代的な国家の成立の際に国境で分断されてしまうことがあり、そうした遺産の保護にもこの概念が用いられ、共同で保護が行われるようになっている。
作業指針の中では、できる限り関係締結国が共同で登録推薦書を作成し、共同管理委員会・機関などを設立して遺産全体の管理・監督をすることが強く推奨されている。
トランスバウンダリー・サイトの一覧は次のとおり。
文化遺産
・ベルギーとフランスの鐘楼群(ベルギー、フランス)
・コロニー・オブ・ベネボレンス(オランダ、ベルギー)
・ヨーロッパの偉大なスパ・タウン(イギリス、イタリア、オーストリア、チェコ、ドイツ、フランス、ベルギー)
・アラスカ・カナダ国境地帯の山岳公園群(アメリカ・カナダ)
・グアラニ人のイエズス会ミッション(アルゼンチン・ブラジル)
・カパック・ニャン:アンデスの道(アルゼンチン、ボリビア、チリ、コロンビア、エクアドル、ペルー)
・シュトルーヴェの測地弧(ベラルーシ、エストニア、フィンランド、ラトビア、リトアニア、ノルウェー、モルドバ、ロシア、スウェーデン、ウクライナ)
・カルパティア地方のポーランドとウクライナ領にある木造教会群(ポーランド、ウクライナ)
・ローマの歴史地区(イタリア・ヴァティカン市国)
・ローマ帝国の国境線(ドイツ、イギリス)
・ローマ帝国の戦線 - ドナウ・ライムス(西部区間)(ドイツ、オーストリア、スロバキア)
・エルツ山地 / クルスナホリ 鉱業地域(チェコ、ドイツ)
・16世紀から17世紀のヴェネツィアの防衛施設群:スタート・ダ・テッラと西スタート・ダ・マール(クロアチア、イタリア、モンテネグロ)
・ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-(アルゼンチン、ベルギー、フランス、ドイツ、インド、日本、スイス)
・フェルテー(ノイジードル)湖の文化的景観(オーストリア・ハンガリー)
・セネガンビアの環状列石 (ガンビア、セネガル)
・コア渓谷とシエガ・ヴェルデの先史時代のロックアート遺跡群(ポルトガル、スペイン)
・ヴィクトリアの滝(モシ・オ・トゥニャ)(ザンビア・ジンバブエ)
・ピレネー山脈のペルデュ山(スペイン・フランス)
・レーティッシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観(イタリア、スイス)
・アルプス山系の先史時代杭上住居跡群(オーストリア、フランス、ドイツ、イタリア、スイス)
・アマルデンとイドリア:水銀鉱山の遺産(スロベニア、スペイン)
・ムスカウ公園 / ムジャクフ公園(ドイツ・ポーランド)
・中世墓碑ステチュツィの墓所群(ボスニアヘルツェゴビナ、クロアチア、モンテネグロ、セルビア)
・クルスキー砂洲(リトアニア・ロシア)
・シルクロード:長安から天山回廊の交易網(中国、カザフスタン、キルギス)
自然遺産
・ビャウォヴィエジャの森(ベラルーシ、ポーランド)
・クルアーニー/ランゲル-セント・イライアス/グレーシャー・ベイ/タッチェンシニー-アルセク(カナダ、アメリカ)
・ニンバ山厳正自然保護区(コートジボアール、ギニア)
・タラマンカ山脈地帯:ラ・アミスター保護区群/ラ・アミスター国立公園(コスタリカ、パナマ)
・モシ・オ・トゥニャ/ヴィクトリアの滝(ザンビア、ジンバブエ)
・アグテレック・カルストとスロバキア・カルストの洞窟群(ハンガリー、スロバキア)
・ウォータートン・グレーシャー国際平和自然公園(カナダ、アメリカ)
・W・アルリ・パンジャリ自然公園群(ベナン、ブルキナファソ、ニジェール)
・ヘーガ・クステン(ハイ・コースト)/クヴァルケン群島(フィンランド、スウェーデン)
・サン・ジョルジョ山(イタリア、スイス)
・ウヴス・ヌール盆地(モンゴル、ロシア)
・カルパティア山脈と他のヨーロッパ地域のブナ原生林(アルバニア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、クロアチア、ドイツ、イタリア、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、ウクライナ)
・ワッデン海(デンマーク、ドイツ、オランダ)
・サンガ川流域の3カ国保護地域(カメルーン、中央アフリカ、コンゴ共和国)
・西天山(カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン)
・ダウリヤの景観群(モンゴル、ロシア)
模擬試験問題
世界遺産検定の模擬試験問題